藤井健仁 彫刻総覧 弐 彫刻鉄面皮 + NEW PERSONIFCATION

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「麿 赤兒が選ぶART情報」   麿 赤兒

 藤井健仁君の作品は3〜4年前に荒木(経惟)さんに紹介されてから、わりと好きで見てるね。ちょうどその頃、今回の「第8回岡本太郎記念現代美術大賞」に入選した「彫刻刑 鉄面皮」を創り始めた時だったんじゃないかな。僕も麻原彰晃のとか野村沙知代のとかみせてもらってさ。「時代の悪の空気を吸うと人間はこういうグワッとした顔になるんだな!」と身震いを覚えた記憶がある。まあ中に は悪人顔でも中身はそうでもないって人の作品も混ざってたりするんだ。僕だってほら、顔は悪のほうだけど中身はカワイイもんだし(笑)。ただ時代の空気だったり、見る側の鏡像的イメージというので、どうしても悪のほうに視点が傾いていっちゃう。そういう意味での現代社会への強烈なアイロニーというかパロディというか。鉄の重量感の中に、そうやって諧謔的に遊んでしまう要素を入れ込いるところが面白い。大げさに言えば犯罪性の匂いのする作品というかな。
現代への毒を持ったメタファーを封じ込めた密度は、軽やかにグロテスクという様を呈していて非常に魅力的だ!

ランティエ。(角川春樹事務所)2005年 4月号

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